京極夏彦の『 巷説百物語 』シリーズの4冊目ということになりますが、時系列的には一番最初の話となります。先の3冊は、山岡百介を中心に描かれていましたが、今作は、シリーズを通して活躍する小股潜りの又市を中心に描かれ、又市がまだ裏の世界に身を投じる前の話となります。
理由あって上方から江戸へ流れてきた双六売りの又市は、根岸の損料屋「ゑんま屋」の手伝いをすることに。この店はれっきとした貸物業、しかし裏では、決して埋まらぬ大損を大金と引き替えに仕掛けであがなう…という稼業を営んでいた。渡世仲間らと共に、若き又市が江戸に仕掛ける妖怪からくりの数々。だがついに、とてつもない強敵が又市らの前に立ちふさがる。やるせなさが胸を打つシリーズ第4弾、百物語はじまりの物語。
今回はとにかく又市の言葉のひとつひとつが青臭い。あの又市の言葉とは思えないくらい青臭いんだけど、でも底辺のところで語っている言葉はシリーズを通してよく知っている又市ならではの信念だったりする。これを読んだ後に、また1作目などを読むと深みが増すんだろうな。
『 巷説百物語 』シリーズは「仕掛け」が重要なファクターとなっているのですが、今作はさほど重要視されていません。そんな関係かどうかはわかりませんが、物語そのものはシンプルです。読みやすかったですけどね‥‥(^^;;